病人を看護する場合、一番重要なことは周囲のすべての人々が病人への暖かい思いやりを持つことである。いくらすぐれた施設、治療、看護の手技などがあっても、心のこもった看護に勝るものは存在しない。また病人が自ら病気より回復し、少しで
も健康になろうとする闘病意欲も同様に欠くことのできない大切なものである。
一刻も早く病気から回復するためには、病気の全期間にわたって行届いた看護を受けることも重要である。病院では設備も整っていて医師から充分な治療を受けることができ、
また看護婦、その他専門職の人がいて充分な看護を受けることができる。しかし、病気がある程度回復すると、今度は家庭に療養の場が移ってくる。
病人が家庭において病院と同様な質の高い看護を受けることが必要であるが、家庭で看護にあたる人はほとんどが専門的知識も乏しく、病人を充分に看護しようとする熱意があるにもかかわらず、それが実施できない場合が多い。このような場合に本書が役立つものと思われる。
第4章の疾病時の社会的援助の受け方は、病人の病気の種類・病状と家庭の経済的況により大きく異なる。難病の場合は第1節を、身体障害者の場合は第2節を、高令者の場合
は第3節を、低所得者の場合は第4節をそれぞれ参考にする。第5節は平成12年度から
スタートした介護保険制度の概略についても説明する。まず法規の概要と給付の対象を読
み、それに該当するかを判断する資料として利用してほしい。これらの社会的なサービス
は本人または家族の申請により給付されることが多く、給付の内容には金銭または実際のサービス提供がある。第4章では金銭によるサービスのうち、健康保険による医療費の給
付、年金の給付は説明を省略した。 こうした法的にサポートされる医療サービスについては、病院の医療ソーシャルワーカ
ー、保健所や市町村の保健婦、市町村の福祉事務所、地区の民生委員などに相談すれば色々
な指導が受けられる。これらの制度はかなり複雑で、様々の制限などがある。また都道府
県ごとに適用内容が異っていたり、年々変化するので詳しいことはここでは説明しない。
インターネットの内容は本と異なり、一冊という単位で購入する必要はなく、必要なと
きに必要な場所を参照すればよいという利点がある。しかし、インターネット上には膨大
な情報が存在し、介護者が必要とする時に、必要な情報を手に入れることができるがどう
かという問題も存在する。
このホームページは看護科学生やホームヘルパー向けのテキストとしても充分利用しうる。そのような場合に、インターネット版と同じ内容をプリンターに出力するとページ数が多くなるのでCD-ROM版を利用するとよい。CD-ROM版(WINDOWS版のみ)の購入方法は「あ
とがき」を参照されたい。
具体的な看護活動に本書が活かされ、人々の生命と健康を守り、
明るく平和な社会を築くのに利用されることを願って止まない。
医学博士 大谷元彦
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